近年は「うさぎの島」として知られる広島県にある大久野島、美しい景観や砂浜に恵まれ島全体が国民休暇村となっており多くの人が訪れます。その一方、瀬戸内海航路の要衝にあるため明治以降軍の司令部が置かれ砲台が設置された。また、昭和初期には化学兵器として毒ガスが秘密裏に製造され、その事実を隠蔽するため「地図から消された島」としての側面を持つ。そんな島で戦争遺構を訪ねました。
広島県竹原市の忠海港から船で15分程度で大久野島に到着します。
レンタサイクルもあるようですが、1周4㎞程度なので歩いてまわります。早速うさぎが迎えてくれました。
幹部用の防空壕跡(入口)、幹部用ということは幹部でない人の防空壕はあったのかな、と思いつつ毒ガス資料館へ。
毒ガス資料館を見学、改めて戦争は絶対起こしてはいけないとの思いを強くしさらに遺構を見てまわります。資料館からすぐのところに研究所の跡があります。
説明書によれば研究室、薬品庫、毒ガス製品の管理や機密書類の保管他に使用されていたようです。
少し歩くと国民休暇村があり、通り抜けると貯蔵庫跡が見えてきます。
三軒家、長浦各毒ガス貯蔵庫跡を見学、この長浦毒ガス貯蔵庫は島内で最も大きい貯蔵庫だったとか。この後、北部砲台跡へ。
日清戦争後の1900年芸予要塞司令部がおかれ、大久野島に砲台が設置された。8門の大砲が設置されていたという北部砲台跡、当時の状況がうかがえます。
最後に毒ガス工場の電力をまかなった発電場跡を訪ねます。
「ザ・廃墟」といった感じですが、ディーゼル発電機が8基設置されていたとのこと。また敗戦が濃厚となる中、この場所で動員学徒の女学生が風船爆弾に関する作業を行っていたとのこと。
かわいらしいうさぎ、美しい瀬戸内の島風景や天然の砂浜等美しい自然にふれられる一方、戦争の悲惨さを今に伝える貴重な遺構が残り戦争と平和について学習できる貴重な島。是非多くの方に訪れていただきたいです。
玄関口の忠海港(広島県竹原市)まではJR呉線忠海駅からすぐ。車の場合は港に駐車場があり利用できます。島までは船で15分程度、うさぎの島として注目されていることもあり便数も多くアクセスは良好。また1周4㎞程度、ゆっくり歩いて見ても3時間もあれば十分で気軽に訪ねられると思います。