安土桃山時代、天下統一を果たした豊臣秀吉、その甥で一時は後継者とされた豊臣秀次が築いた城下町が滋賀県にある近江八幡です。近江商人発祥の地と言われ豪商たちが築いた屋敷や白壁の土蔵が残る風情ある街並みは国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。そんな近江八幡を散策しました。
アクセスはJR近江八幡駅から八幡堀界隈まで2.4キロ程度、バス利用なら10分弱で徒歩も可能かと。車利用の場合は名神高速道路竜王ICから25分程度で駐車場(有料)は数ヶ所整備されています。市営の小幡観光駐車場(有料)に車を止め散策をスタートします。


駐車場は小幡町通りに面しているためこう呼ばれるのでしょうが反対側の通りのところに「新町」の案内板があります。こちら側は新町通りという通りになるためだと思いますが歩いているとこのような町名(薬師町、大工町他)の説明看板が所々に設置されています。
駐車場のすぐ横に伴家という商家の家があります。


この伴家住宅、明治以降は役場や学校として利用されていたようです。伴家住宅の向かいに郷土資料館等があり近江商人に関する説明書きがあります。
郷土資料館からすぐのところに「大文字屋」の屋号で蚊帳や畳表の商いで財を成し、昭和初期まで11代続いた旧西川家住宅がありさらに歩くと八幡堀に到着します。




近江八幡を築いた秀次は本来城を防御するための堀を運河として利用することで琵琶湖の水運を活用、町の発展につながったようです。堀と両岸に建ち並ぶ白壁の土蔵や旧家の風景は味わい深く時代劇等のロケ地にもなっているようです。
八幡堀界隈を散策後は秀次の銅像のある八幡公園に向かいます。




この公園は秀次が築いた八幡山城がある八幡山の麓にあり、公園の横には石垣群が残っています。平時に政務を行った庁舎や秀次、家臣たちの居館跡と考えられています。
麓の居館跡を見学後は山頂の城址に上ります。歩く道もあるのですが無理をせずロープウェーを利用します。ロープウェーは所要時間は約4分、日中は15分間隔で運営されており便利ですが夕方近くに行かれる方は最終便の時間確認をお忘れなく。
山頂駅を降りるとすぐにおねがい地蔵尊があります。
お願い地蔵尊を過ぎて少し歩くと村雲端龍寺門跡の看板があります。




現在城址は村雲御所瑞龍寺という尼門跡のお寺になっています。このお寺は秀次の母(秀吉の姉)が秀次を弔うために京都に建立したお寺をこの地に移転したものだそうです。
山頂付近は遊歩道が整備されており、一周できるようになっています。お寺から「戦国の階段」を通りしばらく歩くと北の丸址に到着します。


「戦国の階段」、特に説明はないのですが当時のまま残っているということなのでしょうか。注意書きがありますが確かに歩きづらいです。
北の丸址からは安土城址のある安土山を見ることができます。言うまでもなく織田信長が居城としていたところで、本能寺の変で主を失った安土の町から多くの人が移り住んできたようです。
北の丸址から2~3分歩くと西の丸址に到着します。


西の丸址からは琵琶湖の眺めが素晴らしいです。十分に堪能した後は山頂駅に戻りロープウェーで麓に下ります。
ロープウェーの駅の前に近江八幡の地名の由来となった日牟禮八幡宮があります。


由緒ある風格のある神社です。
日牟禮八幡宮に参拝後は再び街中を散策、白雲館、旧八幡郵便局を巡ります。


白雲館は西洋建築と日本の伝統的技術を取り入れて学校として建築されたもので現在は観光案内所になっています。
街中には白壁の土蔵や旧商家の伝統的な建築物が残る一方、所々に洋風建築物もあります。明治時代にキリスト教伝道のため来日、その後建築家として活躍したヴォーリス氏が手掛けた建築物が複数残っており、旧八幡郵便局や池田町洋風住宅街も該当します。


ヴォーリス氏と聞いてもピンとこない方もいらっしゃるかと思いますが、東京千代田区にある「山の上ホテル」はご存知の方も多いかと。川端康成や三島由紀夫といった著名な文筆家が常宿とした有名なホテルで最近老朽化による休館がニュースになりました。他にも大阪市にある「大丸心斎橋店」や兵庫県西宮市にある「関西学院大学」にも関わっています。
洋風住宅街から東の方に少し歩くと信長ゆかりの寺、西光寺があります。


歴史好きの方はご存知かと思いますが信長が安土城を築き天下統一に進んでいく中、「安土宗論」という出来事がありました。詳細は省略しますがその「安土宗論」に関わったのがこの西光寺です。
西光寺から再度八幡堀の方に向かっていると西川甚五郎邸というのがあります。


寝具で有名な西川株式会社はご存知の方も多いかと。この西川甚五郎邸はその西川株式会社発祥の地で通常は非公開なのですが春と秋に特別公開されるようです。残念ながら春の特別公開は終了しており外から見るだけですが近江商人のすごさを感じます。
近江八幡の城下町を散策しました。運河として利用されていた堀や古い街並みが残り魅力一杯です。京都からJRで40~50分程度とアクセスも良好、関西地方に在住の方は日帰り圏内かと。周辺には信長が築いた安土城址や西の湖(琵琶湖最大の内湖)もあり関西地方以外にお住まいの方も関西方面へ来られる際は少し足を延ばして訪ねられることをお薦めします。(各種交通機関、各施設等の情報は公式HP等で最新のものをご確認ください)