大井川鐵道(井川線)に乗ってダム湖に浮かぶ秘境駅とその周辺を訪ねました。
静岡県にある大井川鐵道は本線(川根温泉笹間渡~千頭間運休中)と井川線(南アルプスあぷとライン)があり、奥大井湖上駅は井川線にあります。井川線は元々は電力会社の専用鉄道だったものを大井川鐵道井川線として旅客営業を開始したもので、周辺に民家は少なく旅客の大半は観光客が占めているようです。また現在では国内で唯一アプト式(歯車型のレールと歯車型の車輪を組み合わせて急こう配を登る方法)区間のある路線として知られています。
井川線の始発千頭駅より乗車、近隣路線バス(本数は少ない)も利用可能な乗り降り自由の井川寸又峡周遊きっぷ(\2,100-)を購入、途中駅から乗車の際も車内での精算の必要はなくなります。
4駅目の駅が「川根小山」、ひらがなで表すと「かわねこやま」、「かわ」で区切ると続きは「ねこやま」ということで駅舎には猫の絵等が掲載されています。更に2駅乗ると「アプトいちしろ」、ここでアプト式機関車を連結、作業の様子や歯車のあるアプト式線路を見ることができます。そこから急こう配をのぼり次の「長島ダム」駅でアプト式機関車は切り離されます。
長島ダム駅で下車、一つ手前のアプトいちしろ駅まで「アドベンチャーウォーク」というウォーキングコースを歩きます。
長島ダムの放流水のしぶきがかかる「しぶき橋」、「ミステリートンネル」を通ってアプトいちしろ駅まで戻ります。このアドベンチャーウォークはアプトいちしろ、長島ダムどちらの駅から歩いてもいいのですが、アプトいちしろから歩くとなると当然鉄道と同じように急な上り(階段が多い)を歩くことになります。体力に自信のある方以外は長島ダムから下るルートをお薦めします。 「ミステリートンネル」はダム建設により路線変更を余儀なくされた鉄道の旧線路跡、電灯はなく真っ暗になるところがあります。携帯の電灯でもゆっくり歩けば何とか大丈夫ですが懐中電灯の持参がお薦めです。またところどころに「ミステリー」な人形などがありお化け屋敷的な雰囲気も味わえます。トンネル内にはコウモリがいますが、いろんな伝染病を媒介するとのことで、「触らないように」と車掌さんからアドバイスがありました。
アプトいちしろから再び乗車、「奥大井湖上」駅を目指します。
奥大井湖上駅に到着、線路に並行する湖上遊歩道を通り、128段の階段を上ると奥大井湖上駅を見下ろせる「あずまや(展望台)」があり、更に山道を歩くと舗装路に、少し歩いたところが撮影スポット。駅から歩いて20~30分というところでしょうか。「秘境奥大井湖上駅」として紹介されているのはここからの風景が多いようです。次の「接岨峡温泉駅」まで歩くウォーキングコースもあるのですが、湖上駅に戻ります。
駅にカフェがありしばし休憩後、奥大井湖上駅から再度乗車、先ほど歩いた「しぶき橋」等を見ながら千頭駅まで戻ります。大井川鐵道では「トーマスフェア」を開催(詳細は大井川鐡道のホームページ等でご確認ください)しており、千頭駅も会場になっています。
「訪ねてみたい日本の秘境~箇所」といった記事でよく目にする「奥大井湖上駅」、期待通りの絶景でした。紅葉の時期となると一段とすばらしい景色になると想像できます。鉄道好きの方々には「大井川鐵道」は「必修科目」と言えるかもしれませんが、鉄道にあまり興味のない方でもこの井川線はお薦めです。元々は発電所建設の資材運搬用トロッコで、トンネルが小さくそれに合わせた小型車両に乗ってゆっくりと秘境感たっぷりの渓谷美や急こう配も味わえ、周辺には温泉や有名な吊り橋もあります。是非訪ねてみてください。
【アクセス他】
・大井川鐵道本線始発はJR東海道線金谷駅(静岡県島田市)に隣接。メインは車庫があり、トーマスフェア(詳細は大井川鐵道のホームページ等でご確認下さい)の会場にもなっている隣駅の新金谷駅(レトロな車両も見れる)。車利用だと新金谷駅が便利(有料駐車場あり)で新東名島田金谷ICから10分程度とアクセスは良好。
・井川線始発で本線終点の千頭駅までは現在川根温泉笹間渡駅から不通となっているため町営バスを利用するが、本数は少ないため注意が必要。車利用だと新東名島田金谷ICから1時間程度、隣接する道の駅に駐車可能。