徳島県阿南市に「西の高野」と称される真言宗のお寺があります。四国霊場二十一番札所の太龍寺で西暦793年の創建と伝わる古刹です。境内は標高約600メートルの太龍寺山の山頂近くにあり荘厳な雰囲気が漂っています。19歳の弘法大師空海が境内から少し離れた舎心嶽の岩上で百日間にわたり虚空蔵求聞持法を修したことで知られています。そんな太龍寺に参拝しました。
古くから難所として知られ自動車が普及してからも近くまでは上れず30分程度は歩く必要がありました。1992年にロープウェイが運行され格段にアクセスしやすくなりました。ロープウェイを利用しないで上る方法もありますが無理をせず利用します。料金は少し高い気はしますがロープウェイからの景色は素晴らしいです。10分ほどで山頂駅に到着、前の階段を上ると本堂があります。


なかなか趣のある本堂です。本堂の隣に求聞持堂があります。


求聞持堂の門には「絶対に入らないで下さい」の札があります。虚空蔵求聞持法を修行する道場で求聞持行者と一部の人以外は入れないようです。今でも実際に修行ができる数少ない道場の一つだそうです。
本堂から求聞持堂の反対側に歩いていくと辯才天堂がありその隣に木々が生い茂り少しわかりにくいですが多宝塔があります。


多宝塔を通り過ぎると大師堂が見えます。


説明書きにありますが、奥に御廟があり、御廟の橋、拝殿、御廟が高野山奥の院と同じ配列になっていることが「西の高野」と称される理由の一つだそうです。大師堂の手前から多宝塔を見ると姿が確認できます。


本坊の方に歩いていくと鐘楼門がありさらに歩いていくと納経所、龍天井で知られる持仏堂があります。


持仏堂の隣が護摩堂、その隣に六角経堂があります。


さすがに高野山ほどのスケールはありませんが、「西の高野」と称されるだけあって立派なお寺です。
ロープウェイ駅の方にもどり弘法大師空海が修行された舎心ヶ嶽を目指します。道標がありますが680メートルの表示、平地なら10分あればというところですがどうでしょうか。


途中四国八十八ヶ所の御本尊が見守ってくれています。
近づいてくると「ここからはお大師様がお迎えにこられます」の表示があります。


空気が変わった気はします。同時にこのあたりから上りがきつくなります。
ほどなく舎心嶽に到着、お大師様の後姿が見えます。道標から15分程度といったところでしょうか。


お大師様の前に回れますが結構危険は伴います。くれぐれも無理のない範囲で礼拝しましょう。お大師様も「無理はしなくていい」とおっしゃっていると思います。
悪戦苦闘しましたが何とか前から礼拝できました。


ロープウェイ駅にもどり帰路につきます。ロープウェイからお大師様が見えます。あらためて舎心嶽が険しい場所だったことがよくわかります。
「西の高野」と称される四国霊場二十一番札所、太龍寺に参拝しました。山頂近くにある境内は広く荘厳な雰囲気が漂っています。舎心嶽のお大師様に手をあわせると何となく気持ちが落ち着くから不思議です。太龍寺に参拝、お大師様に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。(各種交通機関、各施設等の情報は公式HP等で最新のものをご確認ください)