大河ドラマの舞台をめぐる
NHKの大河ドラマで取り上げられるとそのゆかりの地がクローズアップされ訪れる人が増えます。いわゆる「大河めぐり」ですが、昨年放送された「どうする家康」の舞台となった「浜松城」、少々前になりますが「おんな城主 直虎」の舞台となった「井伊谷城跡」「龍潭寺」を訪ねました。
まずは浜松城。浜松城は武田信玄の侵攻に備え、徳川家康が整備、拡張し、約17年間拠点とした城。家康最大の敗戦と言われた「三方ヶ原の戦い」、当時拠点としていた家康が信玄に大敗し命からがら逃げ帰った城としても知られています。ただ江戸幕府開設後は徳川の譜代大名が城主となり、その多くが幕府の要職についたことから「出世城」とも言われています。浜松市中心部に位置し、アクセスは良好、昨年放送されたばかりで観光客もそれなりにはいました。ただ季節、曜日にもよると思いますが「姫路城」や「彦根城」といった国宝の城に比べれば混雑は少なく、また規模も大きくないので時間もかからないかと。
次に井伊谷城跡を目指します。浜松城のある市内中心部からは車で40~50分程度といったところでしょうか。
「おんな城主 直虎」が放送されたのは2017年、ブームは去っていますがやはりところどころに「大河の威力」は見ることができます。まずは「井伊谷城跡」を訪ねます。登山口の近くに「地域遺産センター」があり、駐車できます。このセンターは地域遺産の保護、活用を目的に開館、井伊谷や井伊家に関する展示物を見ることができます。ちなみにこの地域遺産センターの開館は2017年、大河が放送された年です。
隣接する支所や図書館の横を通り抜け登山口までは5分程度、地域遺産センターで地図がもらえ、また看板もあるのでわかると思います。登山口からはきれいに整備された道ですが少々きつい上りになります。15分程度で登れますが、休憩スペースが設けられているので無理をせずゆっくり上りましょう。
頂上からは井伊谷の風景が一望でき、直虎もこの風景を見ていたのかと思うと感慨もひとしおです。
井伊家歴代の菩提寺で庭園が美しい「龍潭寺」を訪ねます。主人公直虎が出家し「次郎法師」として過ごしたところで、またその後「おんな城主直虎」の誕生に尽力しドラマでも重要な役割を果たしていた南渓和尚が知られています。残念ながら山門は2025年6月末(予定)まで保存、修理工事中ですが開山は約1300年前と伝わる古刹で、美しい庭園や趣のある境内は訪ねる価値は十分です。
岐阜南東部の山城めぐり
「おんな城主」といえばまず井伊家の「直虎」が連想されますが、岐阜県南東部にあった岩村城にも戦国の世に翻弄され非業の最期を遂げた「おんな城主 おつやの方」の悲話が残っています。歴史好き、特に織田信長に興味のある方はご存知かも、という程度かもしれませんが戦国時代の宿命というにはあまりに残酷な話です。詳細は省略しますが興味のある方はネットで「岩村城」「おつやの方」を検索してみてください、おんな城主の悲話が出てくると思います。
築城の歴史は古く鎌倉時代にさかのぼります。以来明治の廃城令に至る700年間、存続し続けた名城で、規模も大きく地形を巧みに利用した堅固な山城です。六段壁などの石垣や複数ある門の跡、17か所あったと言われる井戸等見どころはいっぱいです。
最寄り駅は明知鉄道岩村駅ですが少々距離があり、車の利用が便利かと。駐車場は岩村歴史資料館前と本丸にもあります。体力に不安のある方は本丸まで車で登れますが暗い林のなかの狭い道で注意が必要です。資料館前からは本丸まで徒歩で約30分程度。
次に岩村城跡のある恵那市の隣、中津川市にある苗木城跡を訪ねます。
木曽川の北岸、急峻な岩山の上に建てられた山城で自然の巨石をそのまま利用した石垣が特徴。また年代によって積み方が異なる石垣も魅力です。天守のあとは展望台となっていますが、巨石に穴をあけ柱をたて基盤とした工法は他に類を見ないものです。
展望台からは木曽川や中津川の町並み、恵那山といった360度のパノラマを見ることができます。「ザ・山城」といった雰囲気を十分に味わえ、展望台からの景色もすばらしい苗木城跡、お城にあまり興味のない方でも訪ねる価値はあると思います。
アクセスは車利用かバス利用になりますが、バス停から距離があり車利用が便利かと。中津川ICから10分程度、駐車場は複数個所あります。ただ最も近いA1駐車場は途中の道が狭くなり注意が必要です。天守あとの展望台までは駐車場の場所にもよりますが15~20分程度といったところでしょうか。
近年放送された大河ドラマの舞台と岐阜県南東部にある代表的な山城跡を訪ねました。それぞれにヒストリーや特徴、魅力があり、また浜松城、井伊谷城跡は浜松市内、岩村城跡、苗木城跡も名古屋からは日帰り圏内にあり比較的訪ねやすい範囲かと、お薦めします。