国境の島 対馬紀行 その1

国内旅

九州と朝鮮半島に挟まれた対馬海峡に浮かぶ対馬、九州本土までは約130㎞、一方朝鮮半島までは約50㎞と韓国の方がはるかに近い国境の島です。古くから大陸との交流を持ち対馬経由で伝わった大陸文化は数多くある一方国防の最前線の島との一面もあります。そんな対馬を訪ねました。
現在は長崎県に属し、島全域が対馬市となっています。アクセスは福岡、長崎から空路があり、福岡博多港からフェリー、ジェットフォイル(高速船)が就航しています。

博多港からのジェットフォイルを選択、壱岐島経由で2時間15分ほどで対馬厳原港に到着します。結構大きな島で島内移動はやはり車がないと厳しくレンタカーを利用し2.5日(2日と半日)間回りました。空港や厳原港、比田勝港周辺にレンタカー店があります。
厳原港近くでレンタカーを借り金田城跡を目指し1日目をスタートさせます。30分程度で金田城跡入口の説明書きのあるところに到着します。ここからさらに登山道入口まで車で入れますが道は狭く季節にもよると思いますが落ち葉や木の枝が沢山落ちていて注意が必要です。また登山道入口手前300メートルぐらいからは未舗装区間になります。県道からの入り口のところに「見学ルール」を書いたパンフレットが置いてあるので目を通して守るようにしましょう。

金田城は7世紀、白村江の戦い(はくそんこうのたたかい 又は はくすきのえのたたかい)で唐(当時の中国)、新羅(当時朝鮮半島にあった国)に敗れた倭国(当時の日本)がその後の両国の来襲に備えて築いた国防最前線の城。
登山道入口の駐車スペースは2~3台といったところでしょうか、杖が借りれます。頂上近くに明治時代に砲台が築かれた関係で登山道は旧軍道が使われています。広さは十分ですが石が多く注意が必要です。

15分程歩くと金田城壁石垣の案内板と石垣が見えてきます。

東南角石塁と呼ばれるところで建物の跡も残っています。

建物についてははっきりとは判っていませんが防備兵の詰め所、見張り場あるいは近くにある南門の守備の役割も考えられているようです。これらの役割を担ったのは主に東国から招集された人々が多かったようです。1300年以上前、故郷を遠く離れ生きて帰れないかもしれない任務に就いた人々の思いはどのようなものだったのでしょうか。
南門の跡が近くにあります。

南門を見た後は石塁に沿って下り10分ほど歩くと三ノ城戸に到着します。

城戸とは城門のことで金田城の東面には3つの城戸が設けられ一ノ城戸、二ノ城戸、三ノ城戸と称されています。
三ノ城戸から来た道を南門近くの登山道(旧軍道)まで戻り山頂目指して上ります。
登山道は峠道によくあるようにUターンに近いカーブ(ヘアピンカーブ)を繰り返しながら上っていくので先ほどの石塁を何度か横断します。

写真では判りにくいと思いますが石塁が長く続いている様子がよくわかるところがあります。重機のない時代にこんな長い石塁が築かれたことに驚きです。
南門から40分程度上っていくと山頂近くにある砲台跡に到着します。

金田城跡のある城山には古代の城跡の他近代の砲台跡もあります。金田城が築かれてから1200年以上経過、明治の時代になり城山砲台が建造されました。

「ロシアの南下政策」について歴史の授業で習った記憶のある方も多いかと思いますが、そのロシアへの備えとして1900~1901年(明治33~34年)、ここに砲台が築かれました。日露戦争の始まる3~4年前、国境の島としての宿命というところでしょうか。

砲台を見学後は来た道を登山道入口までもどります。
今回のルートで登山道入口から往復3時間半程度といったところでしょうか。登山道(旧軍道)は広いですが別れて三ノ城戸に行く道などは狭く荒れているところもあります。やはり山歩きに適した装備は必要かと。
金田城跡から姫神山砲台跡に向かいます。30分ほどで到着します。

少し手前に集落がありそこからの道は狭く対向車との離合が難しいため注意が必要です。休日などは集落に駐車できるところを見つけて歩くのも選択肢かと。

こちらの砲台も城山砲台と同じ時期、1900~1901年(明治33~34年) にロシアへの備えとして築かれました。比較的保存状態が良く当時の砲台の状況がよく解ります。
姫神山砲台跡の次は和多都美神社に参拝します。

龍宮伝説の残る古社で拝殿前から5つの鳥居が並んでいてうち2つが海中に建てられているのが特徴です。潮の時間を調べず夕方近くに訪ねましたが水が少ない時間だったようです。

日暮れが近づいてきたため宿までの移動時間も考慮し1日目の行程を終了します。金田城跡(城山)でかなりの時間を費やしましたがそれだけの価値は十分にあったと思います。2日目をその2、3日目(半日)をその3で投稿させていただきます。(各種交通機関、各施設等の情報は公式HP等で最新のものをご確認ください)