本州最南端の岬として知られる潮岬、天気予報などでよく出てきますがその潮岬があるのが和歌山県の串本町、最近は民間ロケットの発射場として脚光を浴びています。また今は橋でつながる紀伊大島(「大島」というのは各地にあるため最近はこう呼ばれることが多い)は明治の時代、トルコの軍艦「エルトゥールル号」が暴風雨に遭い島にある灯台下の岩礁で難破、島民たちが献身的な対応を行いその後の日本・トルコの友好関係に大きな影響を与えたことでご存知の方も多いかと。そんな串本町を訪ねました。
最初に有名スポットで道の駅もある橋杭岩を訪ねます。




説明書きに「マグマが作った不思議な景観」とあるとおりマグマの活動や海底隆起、波の浸食といった様々な要素が重なりできた景観のようです。確かに珍しい景観で、美しい海とのコントラストも魅力的です。橋杭岩の次は重畳山を訪ねます。






重畳山、ご存知の方は多くないかもしれませんが橋杭岩から国道42号線を新宮方面に5~6分走ると案内板があります。頂上は公園になっており眺めは素晴らしく、また弘法大師の開基と伝えられる寺、神社もあり穴場スポットと言えるでしょう。ただ国道に案内板があり頂上には整備された施設や駐車場があるのですが途中の道は細いので注意が必要です。重畳山を降り本州最南端の潮岬に行きます。








本州最南端という立地条件から潮岬灯台の歴史は古く、ペリー来航による開国後まもなく建設が決められ、明治6年には正式点灯、以来船の安全航行に役立ってきました。
灯台の横に潮御﨑神社があります。古くから 周辺の人々の崇敬を受けた由緒ある神社で、パワースポットにもなっています。
少し離れたところに「本州最南端」の碑があり周囲は広場になっています。最南端の岬から見る大海原はやはり絶景で、ぐるっと見渡すと何となく地球は丸いと感じられるような・・・気のせいかもしれませんが。沖を航行する船をみながらのんびりゆっくり過ごすのもいいかと思います。
次にくしもと大橋を渡り紀伊大島の海金剛、日米修交記念館を訪ねます。




「海金剛」とは朝鮮半島の「金剛山」からその名を取ったようで、海底で噴出したマグマが固まってできた岩を波が侵食してできた景観、なかなか迫力があります。
すぐ近くに「日米修交記念館」があります。日米修交というとペリー提督の黒船来航を思い浮かべる方が多いかと思いますが、その62年前、1791年に2隻のアメリカ商船が貿易を申し込んだという史実がアメリカの文献に残っています。日本にも来航の事実そのものを示す資料は残っておりその舞台となったのがこの紀伊大島地区だったようです。ただ当時の日本は鎖国中で幕府の方針に反する貿易に関する記載はなくアメリカ商船も早々に退去したようです。貿易品がこのあたりでは使用する習慣のない毛皮であったことや、現在の和歌山県のある紀州藩は幕府の方針に忠実な(そうならざるを得ない)徳川御三家の一つであったことも背景にあるとの見方もあります。
日米修交記念館のあとはトルコ記念館、トルコ軍艦慰霊碑、樫野埼灯台とその周辺を訪ねます。






日本との修交のため来日したトルコの軍艦「エルトゥールル号」は使命を果たし1890年帰国の途につきますが、暴風雨に遭いここ樫野埼灯台下の岩礁で難破、580名以上の将兵が殉職、生存者は70名足らずの大海難事故となりました。その時の地元大島の島民たちの献身的な救出や介護、官民あげての対応がその後の日本とトルコの絆に繋がり、95年後、イランイラク戦争で窮地に陥ったイラン在住邦人のトルコ航空機による救出につながります。その際、なぜトルコの航空機が危険を顧みず助けてくれたのか解らない日本人が多かったようですが、後の駐日大使が「エルトーゥルル号事件の借りを返しただけ」と語ったとか。トルコでは教科書に「エルトーゥルル号事件」について紹介されているようで親日国というのも納得できますが果たして日本はどうでしょう。この事件は「海難1890」というタイトルで映画化(2015年公開)され、知る人は増えたかと思いますが、考えさせられます。興味のある方は「エルトゥールル号事件」あるいは「イランイラク戦争日本人救出」等ネット検索してみてください、詳しい内容が解ります。
樫野埼灯台一帯は整備されトルコ記念館、トルコ軍艦遭難慰霊碑、トルコ初代大統領の騎馬像の他トルコの物産を売るお店もあります。記念館では事故の概要からその後の日本とトルコの結びつきについて知ることができます。
最後に金山展望台に登ります。




金山登山口から20分程度、少し荒れたところもありますが比較的整備された道を歩きます。展望台から見えるのは反対側から見た橋杭岩、少し距離はありますがなかなかの絶景、お薦めします。大きくはないですが登山口に駐車場があります。
串本町がある南紀と呼ばれる地域、その南紀の旅というとパンダのいる白浜や熊野三山とそこにつながる熊野古道、あるいはその周辺の温泉がイメージされ串本というと少しマイナー感はあるかと思います。ロケットの町といっても発射は限られており普段は特に見学するものはないようです。しかしながら美しい海、マグマと荒々しい波の浸食によって作られたダイナミックな海岸は魅力一杯、海産物も美味しくまた日本人なら知っておくべきと思われる歴史的事件の舞台にもなっています。
高速道路・自動車専用道路が整備されつつ(串本まではまだつながっていませんが)ありますが大阪周辺から車で3時間程度、電車も特急利用で大阪市内から同じぐらいかかります。東京近郊の方は白浜までの空路利用も可能ですがいずれにしても気軽に行けるところではないかと。また各観光スポット間の移動は車がないと不便でレンタカー(串本駅周辺にレンタカー会社は数件あります)利用となるとその分費用もかかります。ただ時間、費用をかけてでも行く価値は十分にあると思われお薦めします。(各種交通機関、道路、レンタカー、施設等の情報は公式HP等で最新のものをご確認ください)