吉備路 鬼ノ城を訪ねて

国内旅

岡山県総社市にある古代の山城「鬼ノ城(きのじょう)」、歴史書に記載がない謎の城ですが7世紀後半の築城とされています。このことから白村江の戦い(663年)で百済(朝鮮半島にあった国)とともに唐(当時の中国)・新羅(百済とは別の朝鮮半島にあった国)の連合軍と戦い敗北した大和政権がその後の両国の侵攻に備えて対馬や九州北部、瀬戸内に築いた古代山城の一つと考えられています。そのうちのいくつかについては昨年「九州北部 古代の城跡を訪ねて」や「国境の島 対馬紀行 その1」で投稿させていただいてます。またこの城には桃太郎伝説の元となったとされる鬼退治の伝承が残っています。そんな鬼ノ城を訪ねました。
アクセスは車利用でないと厳しいかと思います。車利用の場合は岡山市中心部から1時間程度で到着しますが手前3kmは道が狭く注意が必要です。入り口にビジターセンターがあり駐車場が整備されています。

ビジターセンターから復元された西門を目指します。

遊歩道が整備され歩きやすいですが西門を展望するデッキが残念ながら立ち入り禁止になっていました。
復元された角楼と西門が見えてきます。

説明が書かれていますが西門跡は良好な状態で残っていて柱の位置や太さが正確に知ることができたようです。これらをもとに復元されたようですが20年以上が経過し劣化してきたのでしょうか修復の工事が行われていました。
西門の横には城壁も復元されていて雰囲気を感じることができます。見晴らしも素晴らしいです。

一周できる遊歩道が整備されているので頑張って歩きます。西門から南門跡を目指します。
途中敷石が見られます。

敷石は通路としての役割もあるようですが傾斜がつけられていることから雨水等が城壁を壊すのを防ぐ目的で敷かれたのではないかと考えられているようです。またこのような敷石は日本の古代山城ではここだけにしか見られないようです。
さらに進んでいくと第一水門と第二水門があります。 

間の土塁も含め比較的保存状態がよく当時の様子がよくわかる遺構かと。
第一、第二水門から少し歩くと南門跡に到着します。

南門についても発掘調査の結果、細部の違いはあるものの規模、構造とも西門と同じくらいであったと考えられているようです。この南門か復元されている西門のどちらかが正門であったのではと考えられているようです。
南門跡から東門跡を目指して歩きます。途中内側列石や岩切観音があります。

岩切観音を過ぎたあたりから雨が降り始めました。幸い15分程度で止みましたが数分間は結構本降りとなりました。雨宿りできる場所がないため傘をさしてしばらくじっとしていました。
雨が止み再び歩き始めるとほどなく東門跡に到着します。

東門は西門や南門に比べれば少し規模は小さく他の門は角柱が多用されているのに対しすべて丸柱で作られていたようです。
先ほどの雨は何だったんだろうと思うくらい天候は回復してきました。
東門跡から歩き始めると屏風折れの石垣が望めます。石垣目指して歩いて行きます。

途中「まむし注意」の看板があります。何ヶ所かありますが遊歩道から外れて茂みの中には入らないようにしましょう。
遠く見えましたが5~6分で屏風折れに到着します。

高い石垣が残っているところですが、建物はなかったと考えられているようです。1300年以上前に積まれた石垣の上に立っていると思うとロマンを感じます。
屏風折れから北門跡を目指します。歩き始めると「温羅舊跡(うらきゅうせき)」の碑があります。

説明が書かれていないのですが確認したところ温羅とは伝承上の鬼・人物で吉備地方の統治者であったとされています。渡来人であったともされ鉄の技術をもたらしたことから権力が巨大化、対立した大和朝廷によって討伐されたとの伝承が残っているようです。この鬼退治の伝承が桃太郎伝説の元になったと考えられています。鬼ノ城がその温羅一族の本拠地であったとされ碑が立っているようですが、そうなると唐・新羅の来襲に備えて築城されたとされる考えとの関係はどうなるのか、あるいは元々は温羅一族の城であったものを大和朝廷が活用したのか等々想像が膨らみます。はっきりとしたことが判らず結論は出ないと思いますが、そこが古代史の魅力と言えるかもしれません。
さらに歩いていくと土塁があります。

土塁を過ぎしばらく歩くと北門跡に到着します。

東門と同じように西門、南門に比べると少し小ぶりな門だったようです。
北門跡から出発地点の西門を目指します。途中ルートから少し外れます(案内があります)が礎石建物を見学します。

7棟の礎石建物が発見されているようです。1300年あるいはそれ以上前、はたしてどんな建物があったのだろうか、どんな人々がここにいたのだろうか、想像するのも楽しいかと思います。
礎石建物から西門に戻り行程を終了します。
復元された西門を出発点として一周しました。降雨による15分ぐらいの中断はありましたが通常は2時間あればゆっくり一周できるかな、といった感じです。ポイントには現在地を表示した案内図が設置されていて迷うことはないと思います。復元された西門周辺だけを見て帰る方も多いようですが是非時間をとって一周されることをお勧めします。

岡山県総社市にある鬼ノ城を訪ねました。歴史書に記載のない謎の城ですが7世紀後半にはここに巨大な山城が存在していたのは事実のようで、桃太郎伝説の元となった伝承も残っています。そんな古代の山城を訪ねてみてはいかがでしょうか。(各種交通機関、各施設等の情報は公式HP等で最新のものをご確認ください。)