紀州(和歌山)というと世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」で知られる高野山や熊野三山あるいはパンダのいる白浜が有名で、最近では関西空港から近い和歌山城やポルトヨーロッパというテーマパークのあるマリーナシティなども訪れる人が増えているようです。美しい海に囲まれ海産物が豊富、みかん、ももといった果物や梅も有名、温泉もあり魅力のあるところです。そんな和歌山県にご存知の方は多くないと思いますが日本のエーゲ海と言われる美しい海岸があります。いわゆる中紀(紀州の中部という意味、白浜や熊野三山ある南部は南紀)と言われ通過される方が多いエリアにある白崎海岸とその周辺、日ノ岬、御坊寺内町を訪ねました。
車利用の場合大阪方面からは阪和自動車道御坊湯浅道路広川インターから30分程度、JR紀勢本線(きのくに線)紀伊由良駅からバスもありますが日曜祝日のみの運行(令和6年12月現在)となるためやはりレンタカー等車利用がお薦め。
広川インターを降り国道42号線を白浜方面へ、紀伊由良駅を過ぎるとすぐに案内板があり右折、以後は案内板にそって進むと到着します。






この海岸線は2億5000万年以上も前のものと推定される白い石灰岩でできており、白い岩と青い海で構成される海岸は「日本のエーゲ海」と呼ばれ「日本の渚100選」にも選ばれています。これだけ白い岩で構成される海岸は珍しく青くきれいな海とのコントラストはなかなかの絶景かと。


道の駅(パークセンター)で食事を提供してくれます。昼食後穴のあいた立厳(たてご)岩を見学後日ノ岬へ。




紀伊半島最西端の日ノ岬、当然灯台は船の安全航行を支える重要な役割を果たしています。
岬の周囲を散策しますが残念ながら施設は閉鎖され廃墟化しています。


閉鎖されているシティーホテル・国民宿舎とカナダ資料館が哀愁を漂わせています。高い断崖に囲まれ標高の高い岬からの眺めはすばらしく、一帯は公園として整備され賑わった時期もあったようです。残念ながら訪れる人も少なくなり閉鎖されたのでしょうが、すばらしい眺めは一見の価値はあり沖を航行する船を眺めながらゆっくり過ごすのもいいかと思います。
カナダ資料館とありますが、このあたりは明治以降カナダへの移民を多く輩出した地域でその資料を展示していたとのこと。
近くにアメリカ村と呼ばれるところがありカナダミュージアムという施設があります。


カナダなのになぜアメリカ村、と不思議ですが当時は違いが十分認識されていなかったのではないかと言われています。移民し帰国した人々が洋風の住宅を建築したりしてカナダでの暮らしや文化を伝え周辺は独特の雰囲気が漂っていたようです。残念ながらその頃の建物はほとんど残っていませんが当時を伝える貴重な建物として保存され、ミュージアムとして公開されています。
カナダミュージアムを後にし中紀地区の中核都市である御坊市にある本願寺日高別院を訪ねます。




御坊市の「御坊」とは、約400年前、現在の日高別院となる日高坊舎が建立され地元の人々が「御坊様」と呼んで親しんだことに由来するという。周辺はいわゆる寺内町で中心である日高別院のほか古い建物や町並みが残っており懐かしさを感じながらゆっくり散策してみることをお薦めします。
高速道路、自動車専用道路の開通により通過するだけになりがちな中紀と言われる紀州中部を訪ねました。日本のエーゲ海と呼ばれる白い海岸、標高が高く絶景が魅力の岬、移民し帰国した人々が異国文化を持ち込んだ地域や歴史ある寺内町等訪ねる価値は十分あると思います。他にも鉄道ファンには魅力のミニ鉄道「紀州鉄道」、安珍清姫の物語や桜で有名な「道成寺」があり「熊野古道」も通っています。南紀が注目され通過される方が多いと思いますが中紀もお薦めします。(各種交通機関、レンタカー、各施設等の情報は公式HP等で最新のものをご確認ください)