神戸市北区に丹生山という500m程度の山があります。今は頂上付近に丹生神社という神社を残すのみですがかつては明要寺という大きな寺が存在していました。この寺には百済王子の伝説が残り平安時代末期には平清盛が厚く信仰しました。その後城が築かれ三木合戦(織田信長に反旗を翻した別所氏を羽柴秀吉が攻めた戦)では攻防が繰り広げられました。そんな丹生山城跡(明要寺跡)を訪ねました。
アクセスは神戸電鉄有馬線箕谷駅から麓までバスが出ています。丹生神社前というバス停があり1時間に1本程度出ています。


バスは15分弱で丹生神社前に到着、鳥居が見えます。六甲山の北側、駅から少しバスに乗るとのどかな風景が広がります。鳥居の横に案内板(道しるべ)が設置されています。


鳥居をくぐりしばらく歩くと丹生神社の宝物殿、横に丹生会館があり目印になります。


宝物殿からすぐのところに丁石とその説明書きがあります。


説明書きによると地蔵座像の台座に「従丹生山廿五丁」の文字が刻まれています。平清盛が丹生山を比叡山に擬して参詣道を整備、山頂から一丁毎に丁石を建てたと伝わっているようです。
地蔵座像から少し歩くと登山道の入り口があり「丹生山2.8km」の表示があります。


道は整備されていますが落ち葉が積もっていて下に石が隠れていたりします。大き目の石を踏んで足をくじかないよう注意が必要です。
説明が書かれていたように一定間隔で丁石が置かれており「太陽と緑の道」の表示もあります。


太陽と緑の道は神戸市が設定している自然歩道で15あるコースの一つに該当しているようです。
1.6km進んだところが分岐点になっています。参道と車も通れる林道(バス停近くの地図には裏参道と表示)とに分かれていますが参道を選択します。


距離的には短くなりますがその分上りはきつくなります。「史跡丹生山」の碑があります。


けっこうきつい上りを息を切らせながら頑張って上って行きます。
残り0.3kmの表示を過ぎると開けた場所に到着します。


更に進んで近づいていくと石垣があります。


この石垣の上に広いスペースがあり、説明書きや碑があります。


説明書きによると丹生山にはかつて明要寺という大きな寺がありました。6世紀に百済から渡来した童南行者によって建立されたとされています。説明書きには書かれていませんがこの人物が百済聖明王の王子だという伝説が残っています。あくまで伝説なのですが仏教伝来の時期でもあり100パーセント否定はできない話、ロマンを感じます。


平安時代末期には平清盛が一時的に福原(神戸市兵庫区)に遷都しましたが、明要寺を厚く信仰し度々参詣に訪れたとされています。
広々としたスペースには建物があったのだろうと想像できます。見晴らしが良く六甲の山並みが見えます。
さらにもう一段高いところに上って行くと神社があります。


明要寺は多くの伽藍と僧兵を擁する一大勢力となり城塞化されていったとされています。南北朝の時代には戦いの舞台となり、戦国時代の三木合戦の際、三木城(兵庫県三木市)へ兵糧を運搬するため城が整備されました。反信長方を支援する勢力(毛利氏等)から船で運ばれ水揚げされた兵糧が花隈城(同じく信長に反旗を翻した荒木村重が支配する城、現在の神戸市中央区)からこの丹生山を経由して三木城に運び込むルートが確立されました。しばらくは補給路として機能したようですがやがて秀吉の攻略目標となり内部からあがった火(秀吉の策略によるとされる)によって落城したとされています。補給路を断たれた三木城は兵糧不足になり、その後落城しました。丹生山城の落城が秀吉による二大兵糧攻めの一つとされる「三木の干殺し」につながったと言えるかもしれません。


明要寺はその後衰退し、舟井坊という一坊だけが残っていましたが明治の廃仏毀釈で廃寺となり鎮守の丹生神社だけが残ったようです。今は趣のある神社がひっそりと残るだけですがこの山で繰り広げられた様々な出来事とかかわった人々に思いを馳せます。
頂上でゆっくりした後は丹生神社前のバス停に向けて下ります。上りで歩いた参道ではなく林道(裏参道)で下ります。


林道の方は参道より傾斜が緩く舗装されているので歩きやすいです。とはいえ舗装面が隠れるほど落ち葉が積もっているところもあり傾斜が急なところは注意が必要です。
バス停近くで再び丹生山をながめ帰路につきます。
神戸市北区の丹生山城跡(明要寺跡)を訪ねました。丹生神社バス停を起点にして往復3時間程度の行程です。
6世紀に建立されたとする寺院には百済王子の伝説が残り、平安時代末期にはこの世の春を謳歌した平氏の棟梁が厚く信仰しました。戦国時代には兵糧運搬の基地として城が整備され織田氏と毛利氏という巨大勢力の攻防の舞台となりました。神戸市中心部から30分程度とアクセスは良好、残っているものはほとんどありませんが城跡、寺院の跡を訪ね古代から戦国時代にかけてこの場所がかかわった歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。(各種交通機関、各施設等の情報は公式HP等で最新のものをご確認ください。)
