鳥羽の離島 神島を訪ねて

国内旅

三重県鳥羽市、伊勢神宮のある伊勢市に隣接し市域全体が伊勢志摩国立公園に指定されています。美しいリアス式海岸が広がり、人気の水族館もあることから多くの観光客が訪れています。そんな鳥羽市には4つの有人離島があります。そのうちの一つで最も沖に位置する神島を訪ねました。
アクセスは鳥羽マリンターミナルから市営の定期船が運行されており1日4便運航されています。船は直行する便で30分程度、他島を経由する便で40分程度で着きます。

神島は作家三島由紀夫の「潮騒」の舞台となった島として知られています。船を降りると早速「三島文学 潮騒の地」の碑が迎えてくれます。周囲4キロほどの小さな島で一周できる遊歩道が整備されています。いただいたマップを頼りに歩き始めます。港からすぐのところに郵便局がありますが、比較的新しい感じがします。八代神社、神島灯台を目指して歩くとすぐに時計台があります。

今の時計とは違う時計だそうですがかつては島で唯一時間を刻んでいたそうです。
時計台から少し歩くと洗濯場があります。

島に水道が通る以前洗濯場として利用されていたところで、小説「潮騒」の中でも生活感豊かに表現されているようです。説明書きに小説の文章が引用されていますが、ところどころにこのような小説の文章が引用された説明書きがあります。
八代神社を目指し階段を上ります。

入り口の鳥居までも上りますが、ここからも結構上っていきます。
汗をかきながら頑張って上ります。

創立は不詳のようですが、海の神様を祀る島の氏神で宝物の銅鏡などが国の重要有形文化財に登録されています。途中「薬師堂」の道案内にしたがって階段を下りて行ったところにそれらしき建物と横に小さな祠があります。

次に神島灯台を目指します。上りが続きます。遊歩道は整備してから少し時間が経っているのか草木が伸びて狭くなっているところがありますが危険を感じるところはなかったです。神社から20分ぐらいで灯台に到着します。

神島は海の難所といわれた伊良湖水道に面していることから船の安全航行のため明治43年に灯台が設置されました。この灯台は「日本の灯台50選」に選ばれているようです。
灯台の次は監的哨跡を目指します。しばらく上りますがほどなく下りに転じます。灯台から15分ぐらいで到着します。

小説ではクライマックスシーンに描かれているところです。
監的哨とは対岸の渥美半島(愛知県)に作られた陸軍の射撃試験場から発射された砲弾の着弾点を観測するための施設で正式には「陸軍伊良湖試験場観測所」というそうです。神島以外にも2ヶ所、合計3ヶ所に作られていたようで、まさに戦争遺跡といえると思います。
あたり前ですが監的哨跡からは見晴らしが良く対岸の渥美半島が見渡せます。
監的哨跡からも下りが続きます。

しばらく歩くとカルスト地形が見られ、その横がニワの浜と呼ばれる浜。このニワの浜は小説の中でも情景が細やかに描写されているようです。

ニワの浜から小・中学校の横を通り抜け少し歩くと鏡石、さらに進むと桂光院があります。

鏡石は昔、女性たちが油を塗って鏡にしたといわれている石。桂光院は曹洞宗のお寺ですが島にある唯一のお寺になるようです。
桂光院から坂道を下っていくと港に戻ります。時計回りに一周しましたがゆっくり見ながら休みながら歩いて3時間程度といったところでしょうか。港で休憩後船に乗り帰路につきます。

鳥羽の離島 神島を訪ねました。美しい海、海岸に恵まれ珍しい地形もあります。古くから海上交通の要衝であることもあり戦争遺跡も残ります。また島のところどころに小説ゆかりの地があり関連を示す説明書きがあります。離島の魅力と小説の舞台としての魅力を兼ね備えた神島、是非訪ねてみてください。(各種交通機関、各施設等の情報は公式HP等で最新のものをご確認ください)