佐保・佐紀路(奈良)散策

国内旅

佐保・佐紀路と聞いて場所がイメージできる方は多くないかもしれません。おおまかですが奈良市内の東大寺と西大寺の間に位置する地域で古墳や古寺が点在し、近年整備が進められている平城宮跡もあります。のどかな田園風景が残る地域もあり魅力一杯の地域です。そんな佐保・佐紀路を巡りました。

佐保・佐紀路というと東大寺転害門をスタート地点とする案内が多いようですが距離が長くなるので無理をせず近鉄新大宮駅をスタートし、不退寺を目指します。近鉄新大宮駅までは大阪市中心部や京都市内からは1時間程度で着きます。
新大宮駅からまっすぐ北に進むと国道24号線と合流、更に歩くと不退寺に到着します。新大宮の駅からは15分程度といったところでしょうか。
「歴史の道」という道標が設置されています。奈良市が制定した歴史散策コースで佐保・佐紀路を含め市街をほぼ一周するコースですがこの「歴史の道」に沿って散策していきます。

不退寺は歌人として有名な在原業平ゆかりの由緒あるお寺。寺宝特別展が行われており在原業平画像を見ることができました。残念ながら撮影は禁止されていましたが美男子とうたわれた業平の画像は一見の価値はあると思います。不退寺からJRの線路を超え国道24号線を渡ると宇和奈辺古墳に着きます。

宇和奈辺古墳は大きな古墳で応神天皇の娘で仁徳天皇の后である八田皇女の墓ではないかと推定されているようです。なかなかの規模です。すぐ横に小奈辺古墳、その隣に磐之媛命陵(ヒシアゲ古墳)があります。

ヒシアゲ古墳は磐之媛命陵として宮内庁に治定されていますがコナベ古墳も磐之媛命が被葬候補者とされているようです。1500年以上も前に作られたもの、なかなか解明は難しいということでしょうか。
3つの古墳を巡った後南に歩くと海龍王寺に到着します。

奈良時代より遣唐使の渡唐安全祈願を修してきたお寺で国内最小の五重小塔が残っています。この五重小塔は奈良時代に建立されたものでは唯一現存する貴重な遺構で国宝に指定されています。
海龍王寺を見学後はすぐ近くにある法華寺を訪ねます。

正式には法華滅罪之寺といい天平の時代、全国に国分寺、国分尼寺が建設される中、国分尼寺の総本山と位置付けられる「総国分尼寺」とされた由緒あるお寺で女人成仏の役割を担いました。「総国分寺」とされたのは大仏殿のある東大寺です。
法華寺から少し歩くと平城宮跡に到着します。

平成10年世界遺産に登録された「古都奈良の文化財」の構成資産となっていますが、まずはその広さに驚きます。まだ時間はかかるようですが近年色んなものが整備、復元されてきています。
平城宮跡から佐紀神社、神功皇后陵を経て秋篠寺に向かいます。

このあたりは少し道が分かりにくいので道標や標識を見逃さないように注意が必要です。
何度かルートを外れたようですが秋篠寺に到着しました。

奈良時代後期の創建と伝わり、木々と美しい苔に囲まれた境内は趣があります。秋篠寺の名称は地名からこう呼ばれるようになったようですが、皇室の「秋篠宮家」の由来にもなっています。美仏「伎芸天像」や年に1日だけ公開される「大元帥明王立像」が知られています。この「大元師明王立像」、公開日は6月6日となっていて一度は見たい気もしますが長い行列ができるようです。
秋篠寺からゴール地点の近鉄西大寺駅までは徒歩20分程度、疲れたら路線バスも利用できます。バス利用だと10分以内、本数は平日昼間で1時間に3本程度、土日だと2本程度といったところです。個人差があるので参考ですが秋篠寺までで歩数としては2万歩を超えたぐらい、食事や休憩、見学時間を含め全体では5時間程度といったところでしょうか。

奈良市の東大寺、西大寺の間に位置する佐保・佐紀路を散策しました。広大な広さを誇る平城宮跡、その周囲には貴重な仏像があり驚くほどの由緒あるお寺や古墳群が残る魅力一杯の地域です。
日本の古都と言えば京都・奈良と言われることが多いかと思いますが奈良は京都に比べマイナーなイメージは否定できず観光客も東大寺(大仏殿)とその周辺、法隆寺といった限られたところ以外はそれほど多くないようです。しかしながら今回訪ねた佐保・佐紀路のように京都に負けないくらいの魅力ある地域で落ち着いて散策できる場所が沢山あります。京都でオーバーツーリズムが問題となるなか、もう一つの古都奈良を散策してみてはいかがでしょうか。(各種交通機関、各施設、各寺院等の情報は公式HP等で最新のものをご確認ください)