九州最後の炭鉱の島 池島紀行

国内旅

炭鉱の島というとまず最初に思い浮かべるのは長崎の沖合にある「端島(通称軍艦島)」でしょうか。長崎港から複数のツアー船が出ておりアクセスしやすく(もっとも、波の状況等により上陸できる可能性は70%程度だそうですが)、特に最近はテレビドラマの影響で訪れる人が多いようです。ただ端島は住人はおらず入れる範囲も限られるのですが、長崎の中心街から少し足を延ばせば住人がいて炭鉱体験もできる島があります。それが「池島」です。

長崎市中心部から池島行の船がでる「神ノ浦港」まではバスで1時間半程度、直行バスもありますが本数は限られ乗り継ぎが必要なケースが多い。最寄りのバス停は「神ノ浦」、そこから港までは歩いて3~4分程度、長崎市中心部は渋滞も多く炭鉱体験ツアーを申し込まれた場合は時間に余裕をもった計画が必要かと。
神ノ浦港に到着、池島が見えます。船の乗船時間は20分程度、程なく池島が近づいてきます。

到着後炭鉱体験ツアーに参加(予約が必要)。池島についてのビデオを視聴後係の方から説明を受けヘルメットをかぶりトロッコで坑内へ。なかなかの乗り心地、これがまた味わい深い。採掘に使用された機械、安全のための装備や事故発生時の対応等の説明を受け一部体験もさせてもらえます。

改めて危険と隣り合わせで地中奥深くでの炭鉱の仕事の大変さを痛感。
体験ツアー終了後は島内を散策します。
まずは8階建て旧炭鉱住宅や炭鉱住宅跡を訪ねます。この8階建て住宅は高低差のある地形を巧みに利用、地面が高くなっている裏側から5階部分に橋をかけることで上層階の住人の階段昇降の負担を減らし、実質4階建ての建物が2つ重なっているかのようにした極めて珍しい構造。

続いて商店街の跡と少しわかりにくいかもしれませんが現在も稼働している郵便局

炭鉱設備の跡を見て回ります。当然というか炭鉱設備は体験ツアーで入れるところ以外は立ち入り禁止、木々が大きくなってきているため見づらくなってきているところもあります。また危険なため撤去した設備もあるようです。
第一立坑、旧発電・造水施設跡の前を通ります。

選炭工場跡と港にある石炭船積み機

港の近くに「龍神のほこら」があります。

現在池島港のある入江は昔は砂州に囲まれた「鏡が池」と呼ばれる池でそれが「池島」の由来となったとか。その池に龍がいると信じられており龍神を祀るため祠が建てられたようです。

池島炭鉱は1955年着炭と新しく、「端島炭鉱」や「高島炭鉱」のように世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産とはなっていません。逆に閉山は2001年で何と平成に入って10年以上経過してからというのもある種驚きです。そんな池島も閉山から20年以上が経過、最盛期には周囲4㎞程度の島に7,000人以上が暮らし賑わった島も現在は100名程度が暮らすのみ。人々の暮らしの場となった住宅や炭鉱設備も老朽化が進んでいます。
長崎市中心部からはバスと船の時間も入れれば2時間以上とアクセスが良いとは言えませんが炭鉱体験ができ、今なお住民が暮らす炭鉱の島、周囲4㎞程度で炭鉱体験を含めても長崎市中心部から日帰り可能、足を延ばして訪ねる価値はあると思います。
(バスや船の時間、料金、炭鉱体験ツアーについては最新の情報を各公式HP等で確認下さい)