滋賀県南部の日野町、室町時代から蒲生氏の城下町として発展、後に織田信長や豊臣秀吉にその器量を認められ豊臣政権では重要な役割を果たした戦国大名蒲生氏郷を輩出しました。蒲生氏は商工業の保護、育成に注力、生み出された名産品を売り歩く行商から発展した日野の商人はやがて近江日野商人として全国にその名をとどろかせることになります。そんな日野町を訪ねました。
アクセスは近江鉄道日野駅が最寄りになりますが、古い街並みが残り日野商人館等のある街歩きのエリアまでは少し距離があるのでバスの利用が必要になります。車利用の場合は無料の駐車場が複数カ所整備されています。
車を利用、まずは街歩きのエリアから少し離れた蒲生氏郷像を訪ねます。


やはり日野というと氏郷ということでしょうか。
氏郷像の次は正明寺を訪ねます。街歩きのエリアから少し離れているので引き続き車を使います。


説明書きによると戦国時代に兵火により焼失、江戸時代初期に再建されたとされていますが元々は勅建寺の由緒を誇る名刹。気品高い桧皮葺屋根の本堂は京都御所の一部が移築されたもので国の重要文化財に指定されています。
正明寺から日野公民館に移動、車を駐め街歩きを開始します。
岡本町・南大窪町の街並みを歩き一本南の通りに進むと近江日野商人館(旧山中兵右衛門邸)があります。


近江商人とよく言われていますが近江の国に本拠を置き他国で商いを行った商人の総称で、その出身地にちなんで八幡商人(現在の近江八幡市)、五箇荘商人(現在の東近江市)や日野商人(日野町)と呼ばれています。商人館には貴重な行商品、道具や当時の看板などが多く展示されています。
近江日野商人館から中野城(日野城)跡を目指して東の方向に歩いて行きます。歩いていると曳山を収納した倉庫や桟敷窓を目にします。


曳山は5月に行われる日野祭で用いられるもので16の曳山があるようです。日野祭りは馬見岡綿向神社の春の例祭で850年以上の歴史があるといわれ、毎年多くの人々で賑わうようです。桟敷窓は祭りの日に家の中から曳山巡行や行列を見るために作られた特別な窓、人々の祭りに対する思いが伝わります。
中野城跡を訪ねる前にその馬見岡綿向神社を訪ねます。神社に通じる道に入り歩いて行くと手前に笠懸の宮と近江日野商人ふるさと館(旧山中正吉邸)があります。


説明書きがありますが、笠懸の宮は日野祭と関係のある神社で昔奉納の流鏑馬が行われ、標的となる笠が懸けられたことから笠懸の名が起こったと伝えられているようです。近江日野商人ふるさと館は日野商人山中正吉家の本宅跡。
ふるさと館から少し歩くと馬見岡綿向神社に着きます。


絢爛豪華な曳山で賑わう盛大な日野祭を行う神社、境内は広く貫禄があります。
馬見岡綿向神社から中野城(日野城)跡に向かいます。


蒲生氏によって築かれた城ですが近くを流れる日野川にダムが建設されたこともありごく一部しか残っていないようです。蒲生氏郷の産湯の井戸や土塁の一部に当時を偲ぶことができます。


この城に関するエピソードとしては1582年本能寺の変で織田信長が討たれた際、賢秀、氏郷親子が安土城にいた信長の妻子、女房衆をこの城に移動させかくまった話が知られています。
中野城は氏郷の国替えにより廃城となりますが江戸時代に藩主となった市橋氏が陣屋を構えます。土塁の上に神社が二つ祀られていますがこれらは江戸時代に入り市橋氏により建立されたものだそうです。


それぞれに説明が書かれていますが、藩の長久を祈願して建立された稲荷社と藩主市橋氏が源氏の流れをくむことから源氏の祖源経基を祭神とする凉橋神社。
中野城跡から来た道を西の方向に戻ります。進んで行くと滝之宮神社があります。


説明書きによると境内に滝があるので滝之宮神社と称されるようになり、綿向神社の末社として歴史を歩んでいるとのこと。
さらに進んで行くと蒲生家の菩提寺、信楽院があります。


浄土宗の寺で蒲生氏の国替えにより一時期は衰退しましたが再興されました。
信楽院から若草清水を経て清水町の古い街並みを歩きます。


若草清水は蒲生氏郷が茶の湯にこの水を使ったといわれている清水。氏郷は茶人としても知られていて千利休七哲の一人に数えられています。
清水町から出発点の日野公民館に向かいます。公民館に向かう途中、大窪の交差点周辺には立派な寺院が複数ありますが、そんな中に出世稲荷神社という特徴のある名前の神社が目に留まりました。


説明書きがあるので読んでみると、城下町が作られた際、原野に棲息していた狐狸の霊を慰めるために祀ったという伝説があるようです。なお出世神社の出世とは栄達や栄進の出世だけではなく仏の出現をいう出世のことだそうです。
出世神社から公民館に戻り行程を終了します。氏郷像、正明寺への移動、食事、休憩の時間も含めて5時間程度の行程でした。
滋賀県南部の日野町を訪ねました。室町時代に蒲生氏が築いた城下町で、毎年春に行われる日野祭は絢爛豪華な曳山で知られています。近江日野商人の館や古い街並みが残り、ところどころに曳山の倉庫がある街並みは風情があります。豊臣政権で重要な役割を果たした戦国大名蒲生氏郷や全国にその名をとどろかせた近江日野商人を生み出した日野町を訪ねてみてはいかがでしょうか。(各種交通機関、各施設等の情報は公式HP等で最新のものをご確認ください。)
